広島県の呉市。明治時代以降に海軍の要衝として栄えた都市です。戦艦大和が生まれた都市としても有名ですね。現在でも海上自衛隊の重要な基地の一つです。
軍港としての歴史は、明治時代に呉鎮守府が設置されたことから始まります。鎮守府とは、日本沿岸を5つの海軍区に分け、それらを統括する海軍の機関です。
そんな呉鎮守府の歴代の司令長官が生活をした官舎が、現代でも「入船山記念館」として残されており、内部を観光することが可能です。和と洋の融合した空間は、インスタ映えすること間違いなし。
呉の入船山記念館をレポートします。
入船山記念館について
大和ミュージアムから徒歩10分ちょっとで入船山公園に到着します。美術館がもある静かな場所で、美術館に至る坂道には所々に彫像が配置され、「日本の道100選」にも選ばれています。
入船山記念館は、入船山公園の一角にあって美術館の裏手のあたりに位置します。
入船山記念館は上でも書いた通り、歴代の呉鎮守府司令長官の官舎として使用されてきました。戦後は一時的に連合軍に接収された時期もありましたが、1967年より現在の入船山記念館として一般公開が開始されました。
洋館部分は英国風に仕上げられており、家具やステンドグラスもイギリスで作られたようです。中でも壁紙が特徴的で、日本の伝統工芸品である金唐紙(きんからかみ)が使われています。豪華な壁紙を見るだけでも楽しめます。主に迎賓館的な用途でした。
一方で和の部分は主に生活空間として使用されました。質素な武家屋敷のような感じ。和と洋のギャップも面白いです。
入船山記念館をレポートします
実際に入船山記念館に訪れてきました。かつての呉鎮守府長官が生活をした屋敷です。果たしてどんなところなのでしょうか。
まずは美術館通りを歩きます。所々に彫像が設置されており、歩いているだけでも楽しめます。

美術館の方へ入って少し行くと時計台がありました。元々は海軍工廠(造船所)に設置されていた時計を移してきたものらしいです。歴史のある時計です。

これまた歴史のありそうな建造物が。これは砲台の火薬庫を移築してきたもの。中は資料室になっていました。

こちらの建物がチケット売り場です。ここの2階も資料室になっていますので、まずはこちらから見学します。

まずは外見を
入船山記念館。まずは外から。正面はこのように洋風な建物です。2つの三角屋根が特徴的ですね。

裏に回ると、和風な建物に。こちらが記念館の入り口となっています。

もう少し外から眺めてみます。まるで純和風の古民家のような佇まいです。

正面の方に回ると、やはり洋風の建物です。面白い造りですよね。

内部を見学します
中へ入ってみましょう。かつて炊事場として使用されて一角が入り口になっていました。靴を脱いで上がります。

入ってすぐのところは、武家屋敷みたいな感じです。

和から洋へ。

床の貼り方がオシャレですね。ヘリンボーンという貼り方です。

歴代の呉鎮守府長官が紹介されていました。第14代は鈴木貫太郎。後に内閣総理大臣となり、ポツダム宣言を受託しました。

応接室。グリーンの家具がいい感じです。

ドアの上にはステンドグラスがはまっていました。古い建築好きの方にとってたまらない空間でしょう。

客室です。これまた豪華な部屋ですね。壁紙がすごい。

食堂です。かつて歴史上の人物が集まって、ここで宴を催したのでしょうか。

立体的な壁紙。見応えがあります。

食堂を過ぎると、和室に変わります。このギャップが面白いですね。掛け軸もあって、まさに純和室です。

和室もたくさんの部屋があります。

客人をもてなすための茶室。

こんな廊下(縁側?)も憧れますよね。

トイレも見ることができました。質素な感じで、江戸時代の厠(かわや)のようです。

まとめ
呉の入船山記念館をご紹介しました。かつては帝国海軍呉鎮守府の歴代の長官が住んでいました。その後連合軍に接収された後、記念館として開館しました。
まるで武家屋敷と洋館が合わさったような建物。歴史好きはもちろんのこと、古い建築やアンティーク好きにとってもかなり楽しめる場所であると思います。それらに関心のない自分でも、興味深く見学することができました。
呉の観光スポットと言えば大和ミュージアムや鉄のくじら館などがメジャーですが、入船山記念館にも訪れて歴史の一端に触れてみてはいかがでしょうか。